2017年を振り返る。おすすめビジネス書10選

2017年も間もなく終わりですね。今年(ビジネス書を愛してやまない)私が読んだビジネス書の中から、特に面白かったものを紹介します。単純に面白かったというだけでなく、2017年というタイミングだからこそ価値のある著書になっていると思います。

読み物から、社会分析、業界分析、自己啓発と様々ですが、どれも自信を持っておすすめできる素晴らしい本です。Webコンテンツに押されてビジネス書のマーケットは縮小しているように思えますが、今でも変わらずボリュームのある深い考察のある著書が多く、普段忙しい方もちょっぴり時間のある年末年始にぜひ名著を楽しんで下さい。

(1)『アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』

『アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』(中島真志著、新潮社)

2017年に1年で価値が10倍以上に跳ね上がり話題沸騰のビットコイン。仮想通貨周りの話題というと、「最近は儲かる儲からない」やら「詐欺」やらの山っ気のある文脈ばかりで取り上げられるのですが、今のビットコインの状況を冷静に、特に技術方面で分析している良書です。著者が金融に関する知識と、技術に関する知識両方を兼ね備えた上で、一方的な仮想通貨押しではない姿勢で、仮想通貨の限界などを正面から論じている貴重な著書です。大量に出ているビットコイン本の中では、今年はこれという一冊ですね。

著者は、ビットコインは将来的にもマイナー通貨としての地位しか獲得できないと喝破しています。一方で、仮想通貨周りで浸透しているブロックチェーンなどの様々な技術が、社会に大きなインパクトを及ぼすと論じています。

仮想通貨の明るい未来といったポジショントークや、逆にチューリップ・バブルのような投機と全く同じですという、浅いビットコイン批判は放っておいても山のように耳に入ってきますが、その二歩くらい先まできちっと書かれている本です。全体的に、政府系、メガバンクの視点寄りなのですが、それも含めて勉強になることが多い一冊です。

単純にビットコインの概要とポジティブな側面中心にサクッとと知りたかったら、『いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン』が読みやすくておすすめです。

(2)『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』

『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書』(尾原和啓著、幻冬舎)

2017年は、新しい働き方や個人ブランディングに関わるテーマの本が数多く出版された年でした。本流のアッパー(上昇志向)なキャリアの作り方や稼ぎ方とは一線を画す、「好きなことで食べていく」系のテーマのラッシュです。これらのテーマに共通するのが、今まで「仕事は嫌なものでもお金のために我慢して働くのが普通」という価値観へのカウンターです。

むしろ、「我慢して嫌々やるような仕事は今後AIにより代替されてなくなっていく。逆に、好きなことをしている人のほうが稼ぎやすくなる」とのこと。なぜそんなことになっているのか?2017年に発売された本の中で一番分かりやすく論じられているのが本書の『モチベーション革命』です。

本書では、上昇志向やお金儲けに興味がない、30代以下の世代を『乾けない世代』として、彼らが何をモチベーションとして動いているのか、それにあわせて社会はどのようになっていくのかを分析しています。団塊の世代が「達成」と「快楽」を欲しているのに対して、「乾けない世代」が何を欲しているのか・・・。

「好きなことで食べている」人たちの個々の考えや取り組みについて深く知りたかったら、今年は下記のように著名人の本が何冊も出ているので、自分がピンとくる人物の著書をいくつか読んでみましょう(個人的には、ヨッピー氏の『明日クビになっても大丈夫!』が好きなことで食べていく仕組みを詳しく開かしていておすすめ)。

ただ、今のWebの仕組みだと、どうしてもポジティブ、ネガティブ関わらず「Attention(注意を引きつける力)」が高いことが強者になりやすい傾向があります。そのためSNSなどネット上で注目される人がどうしても目につきますが、そういった人たちだけが、「好きなことで食べていく」唯一な方法ではないのでそれについても注意しましょう。おそらく、この流れも今後変わっていくでしょう。

『革命のファンファーレ』(西野亮廣著)

『明日クビになっても大丈夫!』(ヨッピー著) →こちらに私の書評もあります。

『なめらかなお金がめぐる社会』(家入一真著)

『「自分」を仕事にする生き方』(はあちゅう)

『多動力』(堀江貴文著)

 「好きなことで食べていく流れ」は、おそらく数年以内に揺り戻しが起こることも予想されます。来年以降、「フリーランス辞めました」みたいな、ブログ記事も一層増えるでしょうね。

(3)『10倍速く書ける 超スピード文章術』

『10倍速く書ける 超スピード文章術』(上阪徹著、ダイヤモンド社)

仕事術、スキル系からはこちら。

本書からの引用・・・

※P002引用
ビジネスにおいて、今ほど「書く」ことが求められている時代もありません。

メール、レポート、企画書、プレゼン資料。
PR記事、社内報、営業資料、議事録。
ブログ、メルマガ、SNS……。

これは、まさにそのとおりで、文章を書くのが苦手であったり、スピードが遅いと、今の社会ではそれだけで大きなハンデを背負うことになります。

上記で触れた「好きなことで生きている」人たちの多くも、自分のクリエイティブを発信するのに文章力を必要とするケースがほとんどです。

本書は、「文才が不要」で、分かりやすく読みやすい文章を素早く書く技術について触れられています。特に本書で強調されているのが文章を書くためには「文章の素材集め」が最重要であるという点です。それ以外にも、使えるテクニックが盛り沢山です。

私は本書のおかげで文章を書くのが今までよりも、早く楽しくなりました。

こちらに私の書評もあるので、よろしければどうぞ。

『文才は不要の衝撃『10倍速く書ける 超スピード文章術』【書評】』

(4)『LIFE SHIFT』

『LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン著、アンドリュー・スコット著、 東洋経済新報社)

2017年は「副業解禁元年」といってもよい年でした。本書の発売は2016年なのですが、今年はこれほどメディアで取り上げられた著書もないだろうということで紹介させていただきます。

この著書のおかげで「人生100年時代」というフレーズがあらゆるところで使われるようになりました。本書では、長寿化により100歳以上まで生きることが当たり前になる社会になり、65歳定年まで働いて、あとは悠々自適に引退という暮らしが実質不可能になることが論じられています。

これは、日本国内の文脈で言えば若年層と高齢層のバランスが大きく崩れる以上、年金のみで100以上まで裕福な暮らしをするのは社会制度上難しいということを意味します。年金の支給年度や、額も大幅に調整されるでしょう。そのため、私たちは年をとっても働き続けなくてはいけないということです。

その中で、本書ではお金だけではない「無形資産」の重要性や、「エクスプローラー(探検者)」「インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)」「ポートフォリオ・ワーカー」といった新しい働き方が提唱されています。

全世界で話題になっている著書ですが、平均寿命が長く、高齢化比率が高い日本では本書の内容に特にリアリティがあると言えるでしょう。

数年前の著書ですが併せて同著者の、『ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』も必読です。

(5)『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』

『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』(シバタナオキ著、日経BP社)

続いて事業分析系です。

本書は、いわゆるPL(損益計算書)やBS(貸借対照表)の読み方といった一般的な会計本とは全く異なります。

そういった知識はすっ飛ばして、EC、FinTech、広告、個人課金、携帯キャリア、企業買収といった様々な分野のビジネスモデル別に、決算書の情報を読み解く方法が書かれています。

本書はCakesで連載されている『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』から、選りすぐりの内容が単行本になったもののようです。

どちらかというと、ビジネスモデルによってどのように決算書の読み方を変えればいいのかということが掴める内容になっていて、全ての事業に使える普遍的な決算書の読み方が分かるというよりは、ビジネスモデル分析に近い内容といえるでしょう。

また業界が、ITベンチャーを中心とした新しいビジネスモデルのものが多く、彼らの事業モデルを分析するために頻繁に利用される概念や考え方、用語が散見されてそれも勉強になります。具体的には、サブスクリプションモデルの決算書の見方から、ユーザあたりの売上であるARPU(アープ)の概念を中心にした事業予測など、Web業界では一般的ですが、他の業界では耳慣れない概念ですね。

本書を読むことで、逆に新しいビジネスについては型通りの決算書の読み方では通用しにくいということも理解できて大変興味深いです。

(6)『数字が読めると本当に儲かるんですか?』

『数字が読めると本当に儲かるんですか?』(古屋悟司著、日本実業出版社)

続いて会計・経理系です。

こちらが面白いのは管理会計という難解な話が、会計士の視点ではなく、楽天でも有名な花屋のネットショップ「ゲキハナ」のオーナーでもある著者の視点で描かれているところです。先程の『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』が、俯瞰的な視点なのに対して、こちらは、ものすごくリアリティのある著者の体験がベースになっています。

経営者、会社員問わず、多くの方が「会計の基礎知識は学んでおかなくちゃなぁ」と日々考えていますが、いざ入門書を読んでみると、現実離れした専門用語や、数字にぐったりしてしまって、なかなか本を読んでも理解できません。

本書はその問題をリアルな店舗運営の話の中で展開することによって解決しています。また、本書では一貫して「限界利益」という概念にスポットを当てることによって、理解するべき概念の強弱も明確で、読後に確実な知識の持ち帰りがあります。

会計に限らず、「特売セール」の持つ魔力と恐ろしさや、「広告」の費用対効果など、ビジネスについて知っておく必要のあるエッセンスもふんだんに盛り込まれているのもポイントです。

本書を読むと、会計の知識だけでなく、今日国内で問題になっている、労働生産性の低さや、会社の利益率に関する根深い部分、なぜその状態をなかなか変えることが出来ないかという課題の一端を垣間見ることができるでしょう。

(7)『生涯投資家』

『生涯投資家』(村上世彰著、文藝春秋)

続いて読み物系です。

2006年の村上ファンド事件で世間を騒がせた村上世彰氏が10年以上の沈黙を破って書いた著書。とにかく引き込まれるように面白い内容です。多くの人が知っている村上世彰氏は、メディアでさんざん叩かれた悪人のような存在でした。しかし、本書を読むとそれが一面的な見方なのかもしれないと気付かされます。

当時、大きく世の中が変わる中で、彼が一体何を考え動いていたのか。本当に面白いです。著者が一貫して語っているのが「コーポレート・ガバナンス」の重要性。コーポレート・ガバナンスとは、簡単に言えば、企業の実質的支配者である株主や従業員などのステークホルダーが、代理執行人である経営層を適切に、モニタリングする体制です。株主寄りの言葉で言えば、「一部の経営層が暴走、不祥事を起こさないようにきっちり監視する」ということですね。

奇しくも本書が出版されたタイミングに併せて、日本の大企業で次々と不祥事が発生しています。まるで村上世彰氏を排除したツケが今起きているかのようです。

なぜ、「誠実な国民性で高い品質の商品サービスを提供している」と言われていた日本の企業が、社会的責任を果たせなくなったのか、その一つの切り口として、著者の「コーポレート・ガバナンス」の考えと、行動の軌跡を読んでみると、学びが多いことでしょう。まさに、ベストなタイミングで世に出た著書と言えます。

(8)『誰がアパレルを殺すのか』

『誰がアパレルを殺すのか』(杉原 淳一著,‎ 染原 睦美著、日経BP社)

ユニクロ、ZARA、百貨店。誰もが接点を持っているアパレル業界で、劇的な変動が起きている様を分析している著書。

「若者の◯◯離れ」「最近の人は◯◯を買わなっくなった」といったようにどの産業でも大体において消費者側の原因が上げられがちですが、本書ではアパレル業界の川上から川下までに蔓延する様々な衰退要因の分析が詳細な取材から明らかにされます。

次々に乱立する百貨店やショッピングモールへの出店に併せて、大量に生産して販売するための仕組みが、時代の流れから取り残されつつある様子が様々な角度から分析されています。生産側だけではなく、店舗での販売員の待遇など業界に広がる課題と閉塞感が見えてきます。

本書を読むと、ユニクロ、ZARA、しまむら、GUなど、ファストファッションが大きく伸びたのは、価格が安いから、消費者の嗜好が変わったからというだけでなく、根本的な業界の構造も影響していることが分かります。

また業界のネガティブな面だけでなく、第三章以降では、海外のオンラインSPAや、国内のネットの雄ZOZOTOWN、大量生産をしないビジネスモデルなど、様々なアパレル業界の新しい可能性にも触れています。

アパレルという誰でも接点のある業界で起きている課題は、おそらく今国内外の様々な業界で起きている課題と通底していることでしょう。古くて変われない企業の「イノベーションのジレンマ」とはどういうものなのか、またそういった中での生き残りや、新しいビジネスモデルを考えるアイデア箱として学びが多い一冊です。

(9)『幸福の「資本」論―あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』

『幸福の「資本」論―あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(橘玲著、ダイヤモンド社)

続いて、自己啓発というにはちょっと異質な、幸福について触れた本。

「幸福」になるためにルールは存在するのでしょうか?私たちは「住みたい家」についてそれぞれの人が違うものをイメージする一方で、「家」を維持するための土台やインフラがないとそもそも「住みたい家自体」が全く成り立ちません。同じように「幸福」も主観的なものですが、「幸福が成り立つためのインフラは明確に存在する」というのがこの著書の主張です。

幸福のインフラとして必要なものは、「金融資産(資本)」「人的資本」「社会資本」という3つの資本。この3つの資本は、対立する部分もあり3つ全てを満たすのは難しいとしています。この3つの組み合わせで、リア充や、お金持ち、お金がなくても幸せなマイルドヤンキー(プア充)などが、分析できてしまいます。

これらを踏まえながら、今の社会に一番適した幸福な戦略(フリーエージェント戦略)について論じられています。本書でも、例に漏れず好きなことをマネタイズする生き方の優位性が主張されています。その方が魅力的かどうかという話ではなく、その方がやはり「稼ぎやすい」し、「幸福になりやすい」ということが様々な側面から分析されています。また、弱者としてのフリーエージェントが巨大組織に対して優位に生存するための方法も書かれていて興味深いです。

 本書を読むと、なぜ今までこんなに人間関係でモヤモヤしていたのか、お金とやりたいことのバランスで悩むのかなど、様々な理由が明らかになるでしょう。

年末年始に、自分の「幸福」や「生き方」について向き合うのに最良の手引書です。

(10)『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』

『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』(エリック・バーカー著、飛鳥新社)

続いての自己啓発本ですが、ただの自己啓発本ではなく・・・、本書のメインテーマは、氾濫する様々な「成功法則」の検証です。

本書の中身は、成功法則でよく言われていることは本当なのか?裏があるのではないか?ということについてエビデンスを集めて分析した著書であり「成功法則」そのものの否定ではありません。

むしろ、成功法則として耳にする様々な説の中から、真摯に価値のあるものを選び取り解釈する作業を行っています。元々、著者はブログの中で相当量の成功法則の検証を行っているようですが、本書では、その中でも選りすぐりのテーマを扱っています。

具体的には、

  • 成功するにはエリートコースを歩んだ方が良いのか、そうでない方が良いのか?
  • 「いい人」と「したたかな人」、「身勝手な人」どれが成功しやすいのか?
  • 諦めないで続ける人と、切り替えの早い人、どちらの方が成功しやすいのか?
  • 「人付き合いの良い人間」は損をするか、得をするか?
  • 自信がある人、自信がない人、結局どちらの方が成功しやすいのか?
  • ワーク・ライフバランスと、仕事バカ、どちらの方が仕事で成果が出やすいのか?

といったテーマで、興味があるものが一つでもあれば楽しめるでしょう。

成功法則を否定しているわけではなく、残酷な成功法則の「残酷」な部分は、そんなにシンプルで簡単な成功法則なんてないよということです。一方で、確かに成功するための堅実な方法というのは存在していて、それが何なのかということを突き詰めている一冊。

個人的には、2017年一番のヒット本でした。
こちらも私の書評もあるので、よろしければどうぞ。

『成功法則丸分かりの「買い」な一冊『残酷過ぎる成功法則』書評』

 

以上、おすすめビジネス書10選でした。あなたも読んでみたいと思った本はありましたでしょうか?では、みなさん良いお年を。

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ABOUTこの記事をかいた人

Webマーケティング分野中心に暴れているフリーランスです。社会学、哲学、経済学など大好き。コンサルティング、広告運用、Web管理の他、自分の所有するメディアからの広告収入、セミナー講師、著書印税、イベント売上など10種類くらい収入源を作っていろいろ実験中です。bizimaという読書会やってます。ペンネームで本もいろいろ書いてます。