文才は不要の衝撃『10倍速く書ける 超スピード文章術』【書評】

「文章を書くのが苦手…」という苦しみから開放してくれる一冊

10倍速く書ける 超スピード文章術(ダイヤモンド社)

実はこの著書を読んで、文章を書きたくなりました。読了後、居ても立ってもいられない状態になり1日でこのブログを作って、書評を書き始めてしまいました。
そのくらい私にとって、インパクトのあった本です。

著者は、ブックライターという肩書なのですが、年間12冊、多いときで14冊ほど本を書いているとのことです。なにより驚愕なのが、この一言。

※P003引用
1冊の本から短い企画書まで毎日のように文章を書いて、書くことで食べています。そして、フリーランスになって23年間、私は1度も〆切を破ったことがありません。

この「フリーランスになって23年間、私は1度も〆切を破ったことがありません」という言葉を見た瞬間、自分と著者を比べて強烈な胃痛が…。仮にも本を書いている身としては、申し訳ない気持ちでいっぱいでございます。本当にすみません…。

文章を書くことが、今まで一番求められている私たちの時代

さて、「ブックライターのノウハウだから、私には関係ないや〜」と思っている方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

※P002引用
ビジネスにおいて、今ほど「書く」ことが求められている時代もありません。

メール、レポート、企画書、プレゼン資料。
PR記事、社内報、営業資料、議事録。
ブログ、メルマガ、SNS……。

「最近の若者は、全然本を読まなくなって嘆かわしい!」などとよく言われていますが、現実には私たちは今までにないほど文章に触れる機会が増えていますし、文書を書く機会も膨大になっています。

正直、タイピングが遅かったり、文章が書くのが遅い人は、厳しい言い方ですが、仕事の生産性がかなり低くなります。他の仕事の能力ポテンシャルがどれだけ高くても、その時点で大幅に減点というのが現実です。しんどい世の中だ。

文章を書けなくなる苦手意識の最大の原因とは。

で、ここで重要なのは、「良い文章が書ける」「芸術的な文書が書ける」ではなく、「意味が理解できる文章を早く仕上げる」ことなんですよね。

※P253引用
本書の「はじめに」でも書きましたが、「書く」機会が飛躍的に増えた今、文章に苦手意識を持つ人は、より一層ストレスを抱えことになる時代なのかもしれません。
そんなふうに、多くの人が文章に苦手意識を持ってしまう1つの大きな要因として、学校の国語教育に問題があったのではないかと私は感じています。

端的に言えば、「文学」と「実用的な文章」の境界を教えてもらえなかったということです。

これは、本当にそうだなぁと、頷いてしまいました。
当時の教育の影響というのが私にもずっと残っていて、パソコンの前に向かってキーボードを打つ時に、自然に「良い文章を書かなくては」「上手な文章を書かなくては」というプレッシャーが襲ってくるんですよね。お前は小説家かよと。
淡々と仕事をするのではなく、よい「作品」を作らねばという、まるで文学作家になることを要求されるようなプレッシャー…。本当はそんなもの必要ないんですけどね。

独自の表現、文体、美しい表現、憧れます。キラキラしてます。
教育で、染み付いちゃっているんでしょうね。

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

清少納言 – 枕草子

とか、

死といふ事実は、いつも目の前に突然あらはれた山壁のやうに、あとに残された人たちには思はれる。
その人たちの不安が、できる限り短時日に山壁の頂きを究めてしまはうとその人たちをかり立てる。
かれらは頂きへ、かれらの観念のなかの「死の山」の頂きへかけ上る。

三島由紀夫 – 罪人

とか、カッコイイ文章書いてみたいですよね。
WEBマーケティングだと、こんな感じかな?

SEOといふものは、絶対たるGoogleの評価の頂の中で、我々小人が努力を強いられるものであるが、その本質は、善良にて価値ある言語ないしは深き意味の連なりと、其こに鎮守する不変なる理を見出すことを良しとすべし。

ヤマンダーヌ・ヤマダ – 白きSEOの嚮後

ということで、そんなのは実用的な文章で求められていないわけです。

『10倍速く書ける 超スピード文章術』は、マインドと技術の両方を解決してくれる。

本書、『超スピード文章術』で書かれているのは、善き文章(?)ではなく、仕事として文章を書くのに必要な考え方や技術です。
ライターとして食べていきたいという方にとっては、当然ど真ん中の内容なのですが、ブログや、SNSなどで、好きなことを表現してみたい方、また普段の仕事の資料作成、議事録、企画書などで苦労している人にも、非常に役に立つ内容になっています。
というか、役に立たない人はいるんだろうか…。

さて、早く文章を書くためのポイントとして本書で特に重要視されているのが、「素材集め」です。著者は、「文章は素材を集めたらほぼ完成」とまで断言しているほどです。

そこから、どのように文章を書くための素材を集めていくのかというのに話が進んでいきます。
素材集めについては、文章の目的を見出し、対象を想像して、ペルソナを定め、そこから素材を集める…。「みんな」に向けた文章は誰にも伝わらない。特定の人に絞り込む。
これって、そのままマーケティングの考え方です。
著者は、非常にマーケティングを意識してライティングの準備をしていることが分かります。

結局、自分都合で「うまい文章」を考えるのではなく、「文章の目的や読み手」という外側を意識することの重要性を中心に、実際に技術として実践できるレベルで解説されています。

もちろん、後半では具体的な「書き方」のテクニックも展開されています。
素材をどのように組み立てたら良いのか、読みやすい形での文章化から、最終的な整え方まで。

本書の特徴は、著者の一貫したライティングに関する「思想」つまりライティングに対して多くの人が抱えているコンプレックスを解消する自己啓発の部分と、実践で使えるロジックとテクニックの両面が、結びついている点です。

また、考え方や法則をまとめただけでなく、随所に著者が実際に仕事で書いた文章を披露しながら、どのような思考とプロセスで、作成しているのかを説明していて非常に説得力があります。
「素材を集める」という著者の主張が、実際にライティングを行う時に、どの程度のボリュームの文章であれば、実際にどのような素材をどのくらい集めれば良いのかという、質と量のリアリティが理解できるようになっています。

私にとっては、「読む→納得→すぐに実行」というところまで使えた、大変実用的な一冊でした。

10倍速く書ける 超スピード文章術(ダイヤモンド社)

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